※封筒の内容

 …みなさん、私は教育者として いや、人間として許されぬ罪をいくつも犯しました。
 私は、金田の詐欺に手を貸しておりました。やがて金田が邪魔になった私は…
 15年前の11月10日、彼をナイフで殺したのです。
 そのとき金田の家には浅川しのぶがおりました。
 一部始終を見てしまった彼女を 私は車で追いかけはねた上…
 動かなくなった彼女を連れて、現場から逃げました。
 15年たった今、私の犯罪に気づいた二人の人間が現れました。
 一人は小島洋子です。彼女は何かのきっかけで事件を調べ始め、全てを知ってしまいました。
 もう一人は金田五郎です。事件の夜、現場から逃げる私を見た金田五郎は…
 今になって私を強請り始めました。事実が明らかになることを恐れるあまり私は…
 この二人までも手に掛けました。そして…
 愚かにもその後で気づいたのです。自分の運命がここまでだと…
 隠し通せるわけがない、こんな簡単なことに、何故、早く気づかなかったのか悔やまれます。
 こんな私を信じ、そして…慕って下さったみなさまにお詫びするためには、
 こうするより仕方なかったのです…。
 
-浦辺忠志-


※日比野の告白

 金田源治郎、あいつさえ現れなければ親父も…しのぶも!
 あの日…行方不明の親父から最後の電話を受けた俺は…
 源治郎を殺して自分も死のうと決めたんだ!
 最後の別れを告げるため校長に電話をした後…俺は、あいつを殺してやった!
 そのとき、しのぶが現れた… 血塗れの源治郎と俺を見たしのぶは、
 人殺し…そう、叫びながら表へ飛び出していったんだ…
 …立ちつくしていた俺は急ブレーキの音で我に返った。表には…
 校長の車が止まっていた。そばにはしのぶが倒れていた…
 電話を受け、駆けつけてくれた校長の車の前にしのぶが飛び出したんだ!
 校長は俺としのぶを車に乗せ学校へ向かった。俺達をある教室に連れて行き、
 俺を着替えさせた後 部屋を出て行かれた…
 俺のせいで校長やしのぶまで…俺はそばに横たわるしのぶを見た、ところが!
 しのぶはいなかった!しのぶは窓に向かって何か言おうとしていた!しのぶは気絶していただけだったんだ!
 窓の外を見ると女生徒が一人歩いていた!その姿を見た俺は…
 見つかってしまう!そう思い頭の中が空っぽになった。そして、気がつくと…
 砕け散った花瓶の破片と足下に横たわるしのぶの姿があったんだ…
 今度こそしのぶは起きあがってはこなかった… 恐ろしくなった俺は夢中で家に帰った!
 眠れぬ夜が明けると俺は真っ先に校長に会った。すると校長は…一言俺にこう言った…

 …忘れなさい 全て…

 校長は俺のために…その校長を五郎の奴がゆすりやがった!
 あんな奴…もっと早く殺してやればよかった!


※日比野の告白2

 …小島はあの夜、俺をその鏡の前に呼び出しこう言った…

 先生…先生は昔…人を殺したわね…

 そう言った小島は…小島の顔は…
 しのぶそのものだったんだ!
 お、恐ろしかった…俺は思わずこう、叫んだよ。

 そうだ!15年前お前を殺したのはこの俺だ!

 気がつくと俺は、小島の首を絞めていた…
 殺すつもりはなかった…小島をそのままにして俺は逃げ帰った。なのに!
 小島は河原で見つかった!何故だっ!あいつはここで死んだのに!

 …くっくっくっ でももう、どうだっていい…
 秘密を知ってる奴はもういない…そ、それなのに!
 お前らさえ、よけいなことをしなければ校長は死なずにすんだんだ…










































































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