※いったいさんの語り
むかーし、むかし…、ながくし村というところにおじいさんとおばあさんがおった。貧しくも仲良く、正直に暮らしておったある日、二人は夢を見る。それは、二人きりの彼らに子供を授かるという、ありがたーいお告げじゃった。同じ晩に同じ夢を見たことを、二人はたいそう不思議そうに話しておったんじゃが…。何と!お告げ通りおじいさんは、その日竹やぶで女の子を授かったのじゃ。そして、洗濯をしていたおばあさんのもとには川上から不思議なお椀が…。持って帰ってお湯を注いでみるとびっくり!今度は元気な男の子が飛び出してきた。大いに喜んだ二人は子供達に名前を付け、大切に育てるのじゃった…。
ちょうどそのころ…、大きな河のそばのある村に、一匹の子犬がおったんじゃ…。
※めんどりのおしゃべり(その1)
「さあねぇ…、灰と言ってもあんまり聞かないけどねぇ。でも、ねぇ、あっ!そうそう坊や、最近おじいさん何かやけに機嫌がいいみたいだけど、あっ!そうそう坊やは知ってるかしら?あのおじいさん、物々交換が大好きなのよねぇー、おばあさんは、もっと手堅く働いてもらいたいみたいだけどねぇー。やっぱりあの年で今さらつぶしも利かないでしょうしねぇー。まったく、うちの亭主も代わり映え無く朝っぱらから泣いているぐらいしか取り柄もないしねぇー。まったく、男ってのは何の役にも立たないことばっかりに夢中になってもぉーー。」
※めんどりのおしゃべり(その2)
「ええ、もちろん。もぉご近所じゃ有名よ。何でも近々娘さんをお嫁に出すって、もうそりゃあたふたなさってらしてねぇー。もぉ最近は色々と物いりも多くってねぇ、あなた。さっきもそこいらを大きな荷物を抱えて急ぎ足で通り過ぎていらっしゃったんだけどぉ、やっぱり一族をやしなっていらっしゃる旦那さんは立派よねぇー。ちゃんとごあいさつなさってもぉ、出来た人はちがうわねぇー。それに比べてうちのひょーろくだまときたらもぉ、朝一番に鳴くぐらいしか芸のない男ときているからもぉー。で、ぼうやのお話は何だっけ?」
※めんどりのおしゃべり(その3)
「そうそう、その話だったわねぇ。ごめんなさいあたしったらまったく話し始めるとぜんぜん分かんなくなっちゃってもぉ、よくうちの人にも言われるのよねぇーー。そうそう、で、ねずみさんの話だったわよねぇ。その娘さんの名前がおちゅうちゃんて言って、そりゃもぉ気だてのいい色白でよくできた娘さんで、何でも日本一のむこ殿を捜してらしたのよ。これがまた最初は何でもお日様はどうか、なんてもぉ、とんでもないお話になったんだけど、一族が集まって、いや雲さんの方が、とか、いやいやそれだったら北風さんだとか、それよりもカベさんの方が、何てまぁー無茶な話で、もぉどうなることかと思ったら結局となり村にいいねずみが見つかって一件落着ってことになったと思ったら、本家の一人娘を嫁に出すのはけしからん、何てもぉ、やれ嫁だぁ、婿に来いだぁ、大騒ぎで、まぁせっかく畑の一等地に住まれてらっしゃるのだから、お父様も跡を継いでもらいたいって気持ちもないって言ったら嘘でしょうけどねぇ。」
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