第八章
急展開
朝里新聞社の資料室にやってきた主人公。そこには熊田がいる。何度か呼びかけるが返事がない。危険を感じた主人公は必死で何回も何回も熊田を呼び続ける。突然、熊田は顔を上げる。…ただ寝ていただけだったようだ。気づいたことに聞こうとすると、どうやら一冊目の資料を開いたとたん寝てしまったらしい。仕方ないので、主人公も一緒に探すことにする。
膨大な量の資料だが、そのうち左の棚の上から2段目、左から5,6冊目辺りの青い資料をとると、青酸化合物のことが載っている。
※資料の内容
このあと、気づいたことについて聞いたあと、ひとまず熊田医院に戻る。
熊田に二郎について聞き、二人の人影のことを告げると、熊田は殺された二郎を犯人が運んでいたと指摘する。ユリについて聞くと、熊田がユリのために張り切っていたのだとわかる。青酸について聞くと、ガスと指の間の青酸反応の関係を気にしている。和人のことを聞き、ゆき子のことを告げると、熊田が興味を示す。気づいたことを聞くと、ゆき子を会いに行くことになってしまう。
崖の上に行くが、あいにくゆき子はいない。熊田に促され、ゆき子を呼ぶが、やはりいない。辺りを調べても、いないものはいない。熊田に気づいたことを聞くと、熊田は潮風に当たってくると言っていなくなってしまう。崖の草の中程(土が見えている辺り)を調べると、草がやたら踏みつけられており、また、ハイヒールが落ちている。とりあえず拾っておく。熊田はずいぶんと遠くに行ってしまっていたので、一人で明神駅へとやってくる。
駅に行くと、いつも以上に村人が騒いでいる。村人を呼ぶと、昨夜12時頃、キクが崖の方に歩いていくのを見たという。駅員に気づいたことを聞くと、今日はまだゆき子は来ていないという。
再び崖の上に行き、辺りを調べると、何か前の時と様子が違うように感じる。帰ろうと思い、熊田に呼びかけるが、熊田は海の方ばかり見ている。何回か呼んでいると、熊田が戻ってきてこう告げる。「海に女が浮かんでいる」と。すぐに警察を呼ぶ。
駆けつけた警察はすぐに女の死体を引き上げる。それはあずさだった。熊田はこのことを善蔵に伝えてくると言い、立ち去る。鑑識に話を聞くと、死因は絞殺、死亡時間は昨夜の12時頃だという。気づいたことを聞くと、ここは自殺の名所で、滅多に死体は見つからないのだという。死体の顔の部分を調べようとすると、鑑識が主人公が探偵であることに気づき、詳しく調べても言いといわれる。
足を調べると、靴が片方ないことに気づく。そこで、先ほど拾ったハイヒールを鑑識に渡しておく。首を調べるとくっきりと痣がある。腕を調べるが何も握っていない。もう一度調べると、爪に何か激しくひっかいたあとがある。鑑識が調べると、人間の皮膚の一部が見つかる。辺りを見ると、顔に傷の付いた男がいる。辺りの人を呼び、話を聞くと、女房とケンカした際の傷だという。また、その男は昨夜あずさを見たという。さらに、その後ろによく綾城家に出入りしている男がつけていたらしい。あることを思いついた主人公は綾城家に戻る。
善蔵はかなりのショックを受けているようだった。あずさは昨夜の11時頃一度戻っていたらしい。また、ユリのことを告げると、さらにショックを受けてしまう。完全に投げやりになってしまう善蔵。そんな善蔵に、主人公は冷たく、調査を中止するように言う。立ち去ろうとする主人公を、立ち直った善蔵が引き留める。主人公のねらいは見事にはまった。
綾城家について聞くと、ユリの子供を捜してほしいと言われる。あずさについて聞くと、彼女は昨夜、誰かと電話で言い争っていたという。気づいたことを聞くと、あずさは電話の際メモを取る癖があったという。電話の横にあるメモの見ると、文字の部分がへこんでいる。そこで、メモ帳についている鉛筆をとってこすってみると、以下のようなメモが見つかる。
※あずさのメモ
どうやら、あずさは電話の相手と崖の上で会う約束をしていたようだ。そのとき熊田から電話がかかってくる。善蔵とともに、熊田医院に向かう。
熊田医院に着くと、茜を連れてきているという。茜を呼び、話を聞くが、もう屋敷にはいたくないの一点張り。手鏡を見せると茜は狼狽し、立ち去ろうとする。もう一度見せると、茜は泣き崩れてしまう。そして、衝撃の告白をする。
「キク様を殺したのは…、この私なんです!」
そして、茜はぽつりぽつりと話し始める。話では、キクはタバコをやめておらず、茜が買って与えていた。そのことは神田にもこぼしていたという。キクが死んだ日、キセルに火をつけしばらくして死んでしまったという。焦げあとはそのときのもので、タバコ入れは茜がとっさに隠したのだという。
自分を責める茜を、熊田が励ます。熊田にあずさについて聞くと、あずさはほかのものに比べ、死に方に不審点がないと指摘する。また、ユリのことも告げる。善蔵を呼ぶと、茜についていたいという。熊田に、タバコ入れについて聞くと、死んだ者がみんなタバコ好きであったことを告げる。それを聞いた主人公が、シアン化水素について思い出す。そして、指と青酸反応を結びつけるあるキーワードを思いつく。そして熊田に告げた。
「??? ですよ!」
と。熊田も納得する。二郎も完治もこの方法で毒殺してから偽装をしたが、禁煙中のあずさには使えなかったと考えられる。そしてまた、キクも…。
そして二人はすぐに神楽寺へと向かった。
神楽寺につき、住職に全て話したあと、キクの墓を暴くように頼む。しかし、住職は乗り気ではない。キクのこと、手鏡のことなどで住職に迫るが、あくまで反対される。なおも墓石を調べ、なおかつ墓石を開けようとして住職に迫る。ようやく住職も応じ、警察を呼んで墓を暴くことになる。
墓を暴くと、そこにはキクの死体はなく、代わりに一人の男の死体が入っていた。それは、綾城アキラだった。鑑識に聞くと、死因は撲殺で、凶器は墓石の上部、死亡時間はおそらくキクが死んだのより後だという。また、犯人を泳がせるため、死体が見つかったことは公表しないらしい。さらに、死体のポケットから青酸反応のある刻みタバコが見つかったという。熊田に死亡時間について聞くと、アキラは完治より前に死んでいると指摘する。
死体を調べると、何か見覚えがある。そして、主人公は自分がうなかみの崖でアキラに襲われたことを思い出すのだった。
事務所に戻り、推理する。
※主人公の推理
推理をしていると、熊田から電話がかかってくる。タバコを使った事件が過去にあったのだという。その事件は、ある薬剤師の女が、自分の夫に多額の保険をかけて心不全に見せかけたというものだった。そしてその担当弁護士を告げようとする熊田を制して、主人公が言う。
「??? ですね!」
と。
あゆみを見ると、先ほどから何か主人公の顔をじっと見ている。そして彼女は、なぜアキラが主人公を海に突き落とさなかったのかと指摘する。真相を確かめるため、主人公は再び事務所を出た。
序章 一章 二章
三章 四章 五章
六章 七章
八章 九章 十章
エンディング
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