二章 骸骨のいる村
※いったいさんの語り
猿の谷を出たまつのすけとかきのすけは、谷から遠く離れた街道を歩いていた。かきのすけはまつのすけの弁当を運ぶ役を買って出て、お告げの場所に着くまで音もすることになった。街道には壊れた家屋ばかりで、人影がない。かきのすけと話していると、彼はお昼ご飯を食べたいとごねる。その意見に賛成すると、かきのすけの要望で一本松のところで食べることにする。
一本松のところで周りを見渡すと、丘の東側に村があるのが分かる。かきのすけに話しかけると、弁当の風呂敷がなかなか開かないのだという。まつのすけはかきのすけに村に行って来ると告げ、村へと向かった。
村には人影はない。東に行くと、目の前の家から大きないびきが聞こえてくる。中にはいると誰かが寝ている。話しかけると、「カミナリ様…」と言ってうなされているのが分かる。
外に出てさらに東に進むと、墓がある。見ると墓石が倒されている。呼びかけてみても誰もいないようである。
さらに東に進むと、村のはずれに出る。下には先ほど歩いていた街道が見える。見るとこの村の外側をぐるっと回っており、村の中を通った方が近道であることが分かる。
一本松に戻り、近道のことをかきのすけに告げるが、彼は早くご飯が食べたいという。そこで、昼ご飯にすることにした。
村に一人だけいた人間のことや、街道のことなどをかきのすけに話しながらご飯を食べ、食べ終わったまつのすけは早く出かけようと言うが、かきのすけはまだ目的地も分かっていないから、ゆっくり休んで考えた方がいいという。そこで周りを見ていると、だんだん眠くなる。かきのすけが起こしてくれると言うので、まつのすけは眠ることにするが、かきのすけもまた寝てしまい、すっかり日が暮れてしまう。そしてとうとう夜になったときまつのすけは目を覚まし、やっと先に進むことにした。
村に行き、先ほどの人間の家に行くと、まだ眠っている。墓場を抜け、先に進むが、先ほどの街道にたどり着かない。どうやら道に迷ったらしい。かきのすけに話しかけると、何か聞こえるというので耳を澄ますと、確かに何か聞こえる。かきのすけと話してからもう一度耳を澄ますと、音は草むらの奥の方から聞こえているのが分かる。奥に行こうとするとかきのすけは止めるが、それでも先へ進むことにする。
草むらを抜けると、そこではなんと、骸骨たちがなにやら相談をしている。かきのすけは一目散に逃げて行くが、まつのすけは逃げ遅れてしまう。移動しようとしても、骸骨たちは道をあけてくれない。何かしなければと考えたまつのすけは、まず変な顔をする。すると、骸骨たちはもっとやってくれと言ってくる。そこで、今度は踊りを披露するから、場所を空けてくれと言うと、骸骨たちは場所を空けてくれる。そこで、まつのすけがひのえ音頭を踊ると、骸骨たちがざわめきたつ。まつのすけが踊りの説明をすると、骸骨たちはまつのすけをひのえ様ゆかりのものと思い、頼み事があると言ってくる。
彼らはこの村の先祖で、ある日突然鬼の群に村が襲われ、自分たちもあの世からあわてて駆けつけたものの、時すでに遅く、それどころか墓を壊されてしまってあの世にも戻れなくなってしまったという。墓石を直して欲しいと頼まれるので、了解すると墓の土台を見せてくれる。
墓石のあった場所に行き、墓石を運ぼうとするが、まつのすけではもてそうにない。
一本松のところへ戻り、松を見ると、ご飯粒がついている。上に行くとかきのすけがふるえている。見ると後ろに何かある。かきのすけに話しかけても、とても話せる状態ではない。もう一度話しかけると、かきのすけが後ずさりをして何かに触れる。すると、感電したようになってかきのすけは正気を取り戻す。そこでまつのすけは骸骨たちのことを説明するが、かきのすけはいやがって協力してくれない。先ほどの何かを取ろうとすると、危ないからと言ってかきのすけに止められる。
村の人間はまだ眠っている。骸骨のところに行き、その人間について聞いてみると、彼は寝太郎と言って、数年に一度雷の落ちるときにしか目を覚まさないのだという。また、最近カミナリ様が太鼓を落としてしまったと言うことも教えてくれる。
再び一本松に行き、先ほどの何かを見ると、これがカミナリ様の太鼓かもしれないと思う。かきのすけに聞くと、たたいてみれば分かるという。たたこうと身を乗り出すと、その重みで枝が折れ、太鼓が落ちてしまう。そしてその弾みで一本松に雷が落ちるのだった。
周りを見ると、松は焼け落ちてしまい、太鼓も黒こげになってしまった。
寝太郎の家に行くと、先ほどの落雷で寝太郎が目を覚ましている。そこで、まつのすけは今までのいきさつを話し、寝太郎に墓石運びを手伝ってもらうことにした。
墓場に行くと、骸骨たちがいる。自分の墓石がどこにあったか、必死で思い出そうとしているらしい。彼らの話を聞きながら、墓石を元に戻すことにする。
うまく墓石を並べ終わると、骸骨たちがお礼に知っていることを教えてくれると言う。骸骨一に自分がどこに行けばいいかと聞くと、奇怪ヶ森で新しい仲間に出会うところが見えるという。話が終わると骸骨一と寝太郎は行ってしまう。骸骨二に奇怪ヶ森の場所を聞くと、山を二つ越えたところだという。また、道を間違えると、恐ろしい山姥のところにいってしまうとも言われる。そして「天井、湯気」という言葉が重要だと言われる。そして骸骨二は、次こそが前編最後の難関だと告げ、あの世に帰っていく。
骸骨三に話を聞くと、いったいさんの語りをちゃんと聞いているかと聞かれる。そして、そこにディスク版のヒントがいっぱいあると教えてくれる。そして、ひのえ様の踊りは一生役に立つと教えてくれ、彼もまた帰っていく。
最後に、骸骨四に、おうめちゃんが自分のことをどう思っているか尋ねる。彼は大丈夫だと言うが、花言葉には注意するようにと言う。そして、「花桃、椿、ナンテン、ホトトギス」と教えてくれる。最後に、おうめちゃんにぶたれてもあきらめないようにと言い、彼も帰っていく。
骸骨たちがみな帰っていった後、かきのすけが現れる。まつのすけは、目的地が分かったことを告げると、彼はお弁当も渡したことで、もう猿谷に帰るという。そして、まつのすけはひとり、奇怪ヶ森を目指すのだった。