二章 玉手箱を探して
ひかりはりんごとまつのすけを連れてとうふ岩へとたどり着いた。りんごと話すと、中から何か聞こえるという。しかし、耳を澄ましてもよく聞き取れない。また、まつのすけに話を聞くと、ひのえ音頭でも踊ろうかと言われるが、踊ってもらっても違うようである。りんごにどんな声が聞こえるのか聞くと、『シメナワを切ってくれ』と言っているという。そこで、まつのすけに頼み、シメナワを切ってもらうと、とうふ岩に穴が開き、捕らわれていた魂が飛び出していく。その魂のうち二つが、ひかりに話しかけてくる。それはおじいさんとおばあさんの魂だった。彼らはひかりに、探しているものはこの中にあると告げ、村へと帰っていく。そこで、ひかりはりんごとともに中に入ることにした。
中にはいると、「止まれ」と言う声が聞こえる。その誰かに向かって声をかけると、足下を見ろと言う。足元を見ると、そこにはクモがいた。クモと話すと、自分は芸術家だという。さらに話すと、自分の作品を見ていってくれと言われる。
最初の作品は、クモの巣で作った山姥の顔だった。この浜辺にたどり着いてきていたらしい。ここで感想を聞かれるので、爆発していると答えると、次の作品を見せてくれる。(間違えるとりんごと協力して、クモをおだてないといけない。または、一旦外に出ることでもクモは機嫌を直してくれる。)
その作品は竜宮城の絵だった。この地下を歩いていて見かけたものらしい。そこで、そこまでの道筋を尋ねると、再び、感想を聞かれる。ここで美しいと答えると、クモは喜んで、その作品のモチーフへ続く穴を教えてくれる。そこで、ひかりはりんごを残し、竜宮城を目指すのだった。
地下を抜けると、竜宮城の城門前に出る。見ると、まるで竜宮城が鬼ヶ島に捕らわれているような印象を受ける。竜宮城に入るとひのえ様の声が聞こえてくる。ひのえ様に龍の玉と玉手箱について聞くと、『鏡を使いなさい』とだけ言われる。周りを見ると、右の部屋に大事なものがあった気がする。しかし、右の部屋は扉が閉まっている。左の部屋に行くと、そこは鏡の間だった。周りを見ると割れた鏡が散らばっている。鏡を見ると、鏡を直すことになる。
鏡の修復が終わると、鏡が話しかけてくる。鏡は、分からないことは何でも尋ねて欲しいという。龍の玉について聞くと、龍の玉のある場所を見せてくれる。しかし、詳しい場所までは分からないと言う。玉手箱について聞くと、山姥の顔が現れ、そこに玉手箱があると言われる。右の部屋について聞くと、あの部屋には『護身の羽衣』というものがしまわれているという。また、扉の封印は乙姫が行ったもので、竜宮の首飾りを使えば封印が解けるという。また、首飾りと宮水の腕輪は対になっていて、離れたところにいてもこれを使えば会話ができるのだという。そこで早速使ってみると、確かに声は届くようだが、どんべは気づかないようだ。その様子に、ひかりは思わず微笑むのだった。右の部屋に行き、首飾りを使うと扉が開く。中には、護身の羽衣がある。身につけると、思った以上に軽いことが分かる。
奥の部屋に行くと、山姥がお腹を押さえている。話しかけると、襲いかかってくる。しかしそのとき、護身の羽衣が山姥にまとわりつき、きつく締め付ける。それにより、山姥は何かを吐き出す。それはカメの真之介だった。彼は太郎を白石の泉に送り届けた後、浦島の浜に行って玉手箱を引き取り、竜宮城に戻ったのだが、閉じこめられてしまったのだという。仕方なくのんびり待っていたところ、山姥に飲み込まれてしまったのだという。
真之介はひかりに玉手箱を手渡す。ひかりが龍の玉について尋ねると、龍の玉は龍の中にあるという。ひかりが戻ろうとしたとき、山姥が、目を覚まし、護身の羽衣を引きちぎってしまう。真之介はとっさに山姥に飛びかかり、その隙にひかりは逃げ出す。
蜘蛛の糸のところまでたどり着き、りんごに引き上げてもらうが、山姥がしぶとく追いかけてくる。山姥の手がひかりにかかろうとしたそのとき、突然地震が起こる。その衝撃で蜘蛛の糸が切れ、山姥は地下へ落下していくのだった。急いで外に出ると、まつのすけが岩にしがみついてふるえている。空を見ると、どんべとおはなの姿が見える。そして、その後ろには、怪しい影が迫ってきていたのだった…。