第六章

「ごめんなさい…」




 事務所を出ようとすると、電話がかかってくる。電話は空木からだった。彼は金田事件の容疑者がもう一人いたと教えてくれる。丑美津高校の関係者だといい、「当ててみるか?」と聞かれるので、主人公は答える。


「ええ、それは???じゃないですか?」


 空木の話によると、彼は金田に相当な借金をしており、事件の数日前に金田と言い争っているのを目撃されていた。しかしアリバイがあった。犯行時間彼は学校に残って壁の修理をしていたと言ったらしい。不自然な話だが、田崎に修理を頼み、仕上がるのを確認したというのが、浦辺校長だったという。浦辺は金田と面識がなく、事件と関係がないと思われ、社会的に地位のある人物の証言だけにアリバイが成立したらしい。

 空木から、田崎について調べてくれるよう頼まれた後、空木があゆみについて、「彼女の行動には気をつけておいた方がいい」と言われる。


 主人公は考える。


 ※主人公の考え


 主人公はとにかく、丑美津高校へと向かった。

 学校前につくと、まだ授業中である。周りを見ると、生徒はいないが人が通りかかる。呼びかけ、話を聞くと、田崎、浦辺、源治郎のことぐらいしか知らない。彼の話では田崎は感じのいい人物だという。主人公はその人にお礼を言い、旧校舎へと向かった。

 旧校舎の壁を調べる。主人公は何かとんでもない秘密が隠されていると感じた。

 用務員室に行き、田崎に金田事件のことについて迫る。壁のことを聞くと、あの日の夜9時から12時まで塗っていたという。浦辺について聞くと、彼は壁を塗っていた際、ちょくちょく様子を見に来ていたという。その後は、「ワシは人殺しなどやっとらん!」の一点張りである。

 再び、旧校舎前にやってきて、主人公は田崎の話から、浦辺があの日の夜ここにいたはずだと考える。とにかく、浦辺に話を聞こうと思うが、まだ授業中である。一度、用務員室へ行ってみる。

 用務員室に行くと、田崎がいなくなっている。ちゃぶ台を調べると鞄がおいてある。取ろうとすると田崎が現れる。「出ていけ」と言われるがなお鞄を取ろうとすると、田崎は鞄を持ってどっかへ行ってしまう。聞くと、チャイムの音が聞こえる。そこで、職員室へ向かう。

 職員室に行くが、めぼしい先生はいない。残っている先生を呼び、話を聞く。彼は自分ことをしつこく「探偵クン」と呼ぶ。『うしろの少女』について聞くと、こんな話をしてくれる。


 ※先生の『うしろの少女』の話


 校長について聞くと、もう帰ってしまったという。

 学校前に行くと、日が暮れている。生徒はいるが、話してもろくな話が聞けない。

 旧校舎に行き、考えると、あの晩、学校には誰もいなかったと葉山が言っていたのを思い出す。田崎達に気づかなかったのかもしれないので、もう一度葉山に話を聞いてみようと考える。

 職員室に行き、葉山のことを聞いたあと、葉山を呼ぶと現れる。話をしてみるが、どうも要領を得ない。ほかの先生を呼び、気づいてことを聞くと、「葉山先生に用があるんじゃないのか」と言われる。葉山を見ると、困った顔をしている。主人公は人がいるから話せないのだと考え、職員室を後にする。

 学校前に行くが、周りに生徒もおり、葉山に話を聞くことはできないと考える。旧校舎に行き、周りを見ると誰もいない。そこで、葉山を呼ぶことにする。

 葉山はここなら安心と、話に応じてくれる。壁について聞くと、確かに田崎が塗ったものだという。『うしろの少女』のことを聞くと、あの晩、血塗れの少女を見た葉山は、なぜか旧校舎のところにやってきたのだという。慌てていて、靴の片方が脱げたらしい。その日は靴はそのままにして逃げ帰り、次の日に来て見ると、昨日まで崩れていた壁が塗られていたのだという。田崎は9時から12時まで壁を塗っていたはずなのに、葉山は田崎を見かけなかったという。

 そのとき、主人公は誰かに見られていると感じる。旧校舎の裏の人影を調べると、その人物は逃げていく。その人物は、確かに田崎だった。

 学校前に行くが、田崎の姿は見あたらない。近くの生徒に話を聞くと、田崎は慌てて出ていったという。


 主人公の前から姿を消した田崎は、アパートにも帰った様子がない…。事務所で一人、自分のミスを恥じていた主人公を、あゆみが訪れた。見ると、なにやら思い詰めた顔をしている。気になって主人公が彼女に声をかけると、あゆみは主人公に尋ねた。


「田崎さんが洋子を殺した犯人なの?」


 主人公は、事件に関わろうとする彼女のみを案じ、彼女を叱る。  ちょっときつく言い過ぎたと思った主人公は、コーヒーでも飲もうかと誘う。あゆみは「自分が入れる」と言ってコーヒーを持ってきてくれる。コーヒーを取り、飲むといつもよりおいしい気がする。そのことを口にすると、なぜかあゆみは顔を曇らせる。主人公が先ほどの話の続きをしようとすると、何かやら自分の体の調子がおかしい。そこで、あゆみに一服盛られたことに気がつく。


「なぜなんだ、あゆみちゃん!」


 彼女の名を呼ぶ主人公に、あゆみは、


「ごめんなさい…」


と言うだけだった。…後編へ続く。


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九章 十章 十一章  十二章 エンディング おまけ
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