第十一章

たっちゃん




 洋子の事件からちょうど2週間が経ち、気合いを入れる主人公はいつものように学校前に向かう。 学校前に行くと、そばには誰もいない。いや、それどころか人の気配すら感じられなかった。そこへ駒田が通りかかる。人がいないことを告げると、今日は祝日だと言われる。駒田に話を聞こうとすると、美術室で話すという。そこで美術室へと向かう。

 美術室に行くと、駒田がいない。が、すぐに現れる。駒田と話をし、五郎と浦辺の関係などについて話した後、気づいたことを聞くと、校長を疑っているのか、と聞かれる。そうだと応え、もう一度駒田に気づいたことを聞くと、今学校には自分たちしかいないなどと言ってくる。そして、彼は、扉にカギをかけたからもう逃げられないと言って、不適な笑みを浮かべる。主人公は必死で扉を開けようとするが開かない。しかし、もう一度開けようとすると、あっさり開いてしまう。どうやら、校長を犯人扱いしていた主人公をからかっただけだったらしい。

 駒田は、「あー、あほらし。」と言って、何を聞いても取り合ってくれない。その姿勢に、これまで彼を頼りにしていた主人公はショックを受け、調査をやめると訴える。そんな主人公に、駒田は必死で止めようとする…、ふりをするだけで、そんな主人公の芝居にはだまされず、美術室を出ていってしまう。

 一旦事務所に戻り、電話が留守番電話であることを調べた後、留守番電話を聞くと、メッセージが入っている。


 ※留守電の内容


 桂木の家に行くと、まださやかは来ていないという。五郎のことや内田のことを聞いたあと、気づいたことを聞くと、一つ思い出したという。浦辺について聞くと、しのぶと彼女は校長にあこがれていたという。ある日、足をくじいた女の子が校長の車に乗せてもらっていたのを、うらやましげに見ていたという。車の話題が出たので聞いてみると、立派な黒い乗用車だったという。なかなかさやかも現れず、ここもサンボラがあるのと同じ隣町であると考える。部屋を見ると、隅に電話があるので、サンボラに電話をかける。店に誘われるので、桂木にマッチを預け、さやかが来たら連絡をくれるよう頼んでから、サンボラへと行ってみることにする。

 サンボラに行き、マスターや客に五郎のことについて何回か尋ねる。その後辺りを見るとテレビがあることが分かる。客に五郎について聞くと、その客はここのテレビで五郎の死を知ったらしい。この後マスターを呼んで気づいたことを聞くと、五郎がこの店に来るきっかけを思い出したという。ちょうど2週間前、久々に五郎が来たとき、ちょうど客の要望があって音を切ってテレビをつけており、その日一人で飲みながらテレビをボーっと見ていた五郎が、いきなり立ち上がってこう言ったという。


 ※五郎の言葉


 それはちょうど9時頃だったという。それから、本当に運が向いてきたのか、よく店に来るようになったという。そのとき、桂木から電話がかかってくる。さやかが駅に着いたので、主人公に留守番を頼みたいという。そこで、桂木の家に向かう。

 桂木の家につき、辺りを見ると大きなテレビがある。テレビを見ながら、主人公は五郎がテレビで何を見たのかを考える。そして、ちょうど五郎がテレビを見ていたのが今ぐらいの時間だと考え、テレビを見せてもらうことにする。ちょうど野球が終わり、短いニュースが流れていた。

 そこへ、桂木がさやかを連れて帰ってくる。さやかに内田について聞くと、彼は内田輝彦の息子だという。彼女たちは内田のことを「たっちゃん」と呼んでいたという。これを聞いて、主人公は彼もイニシャルがT・Uであると気づく。しのぶについて聞くと、しのぶがグレたことで一番心を痛めたのは内田だと言う。二人は小さい頃が仲がよく、たぶんその頃から内田はしのぶのことが好きだったという。

 次に、洋子のことについて聞くと、2週間前の9時頃のニュースで、浦辺校長がインタビューを受けていたという。その話の後、二人は部屋を出ていく。一人になった主人公は考えを巡らす。


 ※主人公の推理


 耳をすますと声が聞こえる。テレビの声かと思ってテレビを見るが、テレビはついていない。どうやら、桂木とさやかが話をしているらしい。桂木を呼ぶと、中学時代のアルバムを見ていたという。内田やしのぶが写っていると考え、見せてもらうことにする。写真の中で上から2段目の左端の生徒を調べると、見知った顔が見つかる。それは日比野の顔だった。桂木はそれが内田だ告げる。たしかに、アルバムでは内田達也となっている。

 翌日、人のいない校長室で、主人公は日比野に話を聞いた。日比野について聞くと、日比野というの母方の姓で、転校を機にそちらを名のるようにしたという。内田のこと、金田事件のことを聞いたあと、日比野について聞くと、日比野と名乗っているのは世間体を気にしてのことだという。その母も既に亡くなっているらしい。内田について聞くと、父は絶対に犯人ではないと言い張る。日比野について聞いてから浦辺について聞くと、浦辺は輝彦と高校時代からの友達で、あの事件以来日比野を支えてきたのだという。しのぶについて聞くと、彼女は事件に巻き込まれる前から、五郎と知り合って変わってしまっていたという。五郎について聞くと、「奴ら親子は人間のクズだ!」と吐き捨てるように言う。

 主人公は、日比野が相当彼らを憎んでいるように感じる。そこで、彼に五郎が殺されたときのアリバイを聞いてみると、無いという。さらに、あんな奴らがどうなろうがかまわないとも言う。そんな日比野に、主人公は五郎が事件直後黒い車で走り去った、浦辺を脅していたことを告げる。しかし、日比野は、「自分を疑うのはかまわないが、校長を侮辱する事は、僕が許さない!」と開き直ったように言う。そして、日比野は立ち去ってしまう。そして、主人公は考えを巡らす。


 ※主人公の考え


 そして、主人公は美術室へと向かった。

 美術室には駒田がいる。浦辺のことを聞いたあと、車について聞くと、確かに黒い車は五郎のものだという。しかし、浦辺は出張に行っていて、五郎を殺せるわけが無いという。そして、駒田は去ってしまう。アリバイが成立するかもしれないことから、主人公はますます日比野が怪しいと考える。 職員室に行き、日比野について聞くと、険しい顔をして戻ってきたという。葉山について聞くと、前にケガをした生徒の様子を見に出かけたという。主人公は葉山が事故のことを校長に連絡すると行っていたのを思い出し、もう一度葉山について聞くと、一度戻ってくると言うことだ。

 学校前に行くと、あゆみがいる。話を聞こうとすると、これから英語のテストがあるという。どうやら、田崎を追って行った日にテストがあり、その代わりのようだ。あゆみは洋子が鏡の前で『うしろの少女』の話をしたのもこんな薄暗い天気の日だったといいのこし、去ってしまう。その言葉を聞いて、主人公はあることを思いつく。


 ※主人公の考え


 旧校舎に行き、辺りを調べると、主人公は事件の日、何故葉山が遠回りしてこんなところを通ったのか気になる。ここにいたら葉山が戻ってきても分からないので移動しようとすると、葉山がひょっこりと現れる。

 葉山に浦辺について聞くと、連絡が取れないと言う。さらに、出張の予定すらなかったという。さらに気づいたことを聞くと、誰かが通路に車を止めたためここを通らないと帰れないと言う。そこまで話し、葉山はあの日ここを通った理由もこれだったことを思い出す。車について聞くと、見覚えのある黒い車で、学校に来たときにはなかったという。主人公が、しのぶはその車で学校に連れてこられ、今も学校のどこかに隠されていると告げると、葉山は心当たりあるようだ。主人公は壁を指さし、葉山が思っているのはここではないかと尋ねると、そうだと答える。壁を開けようと試みるが、まず、田崎に話を聞いてみようと考え、田崎の家へと向かう。

 田崎に会い、壁について聞くと、確かに田崎が壁を塗ったという。車のことについて聞くが、知らないと言う。気づいたことを聞いたあと、壁のことを聞き、壁に凶器としのぶの死体が埋まっているかもしれないと告げると、田崎はその可能性もあるという。壁を塗ったのは確かに自分だが、壁が固まるまでは時間があり、その間に壁に埋め込み塗り直すことはできるという。気づいたことを聞くと、翌朝道具箱を見ると誰かが使った形跡があったという。しかし、田崎は自分が気づかないくらいうまく壁が塗れるものかと不思議に思っているようだ。主人公はあの壁を崩してみようと考え、空木に相談するため、事務所に戻った。

 事務所に戻り、空木に考えを告げると、彼は主人公に万年筆持ち主が分かったと伝える。誰だか分かるかと聞かれるので、主人公は答える。


 「万年筆の持ち主は…???ですね?」


と。あの万年筆はかなり前に彼が買い求め、T・Uとイニシャルを入れるよう頼んでいたという。そして、主人公は考えを巡らす。


 ※主人公の考え


 空木は、警察が浦辺を追っていることをつたえ、自分も警察に行って来ると言って出ていってしまう。再び、主人公は考える。


 ※主人公の考え


 そのとき、事務所に電話がかかってくる。


 ※電話の内容


 主人公はその声に聞き覚えがある気がした。主人公は学校にいるあゆみが危ないと考え、急いで学校へと向かった。


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九章 十章 十一章  十二章 エンディング おまけ
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