はじまりの森へ

<その4 森とともに>



 主人公は、小紫の声で目を覚ます。見渡すと、そこは美しい小川のほとりのようだが、霧がかかっていて遠くはよく見えない。小紫にここはどこなのかと聞いてみるが、小紫もよく分からないと言う。時間を聞くが、これもよく分からないらしい。月は、と思って空を見てみるが、霧でよく見えない。まわりが明るいので、もう夜が明けてしまったのかと思うが、小紫はそんなに長く眠っていた気はしないと言う。遠くの方を見てみるが、やはりよく見えない。霧があることから知らずの森かとも思うが、はっきりしない。小紫がお花畑の中、というのでまわりを見ると、確かにいろいろな花が咲き誇っている。川、お花畑というシチュエーションから主人公は、もう死んでしまって死後の世界に来たのでは、と言うと、小紫がびっくりしてしまう。まわりを見ると道があるので、行ってみようかと呼びかける。そして二人は道を歩き始めたのだった。

 道を歩いていくと、だんだん目の前に何かが見えてくる。最初何か分からないが、だんだんはっきりしてくると、もしかして、という思いが二人を包む。そして二人は足を早めた。

 二人がたどりついたその目の前には、見たこともないような大きな森が広がっていた。その迫力に圧倒される二人。そして二人は、これが『はじまりの森』であると確信したのだった。そして二人はゆっくりと森の中へ入っていった。

 中に入り、山の神様がどこにいるのか小紫と話すが、よく分からない。とりあえず、奥に進むことにする。奥に進み改めて森のすごさを感じる二人だが、とりあえず山の神様を捜すことにする。しかし、どうやって探せばいいのか分からない。とりあえず叫んでみるが返事はない。再び奥に進んでから呼んでみるが、やはり反応はない。さらに奥に進んでも山の神様は呼びかけに答えてくれなかった。

 どんどん奥に進み、山の神様に呼びかけるが、相変わらず答えてくれない。どうやったら山の神様に会えるのか思案に暮れる二人。そのとき、まわりを見ると水が流れているのが分かる。見ると、どうやらわき水らしい。小紫に、もう少し奥まで行こうかと呼びかけ、移動しようとすると、小紫が呼び止める。見ると、小紫のまわりにホタルが舞っている。そして小紫はホタルに何か話しかけた後、うれしそうに主人公に告げる。ここがはじまりの森なんだと。そしてホタル達が山の神様のところまで案内してくれるとも言う。そして二人はホタル達に導かれ、森を進んでいった。

 しばらくすると、少し開けた場所に出てホタル達は止まる。どうやらそこが、山の神様のいる場所らしい。ホタル達が去った後、まわりが突然暗くなっていく。そして、とまどう二人の遙か上空から、「だれかおるのか・・」という声が聞こえてくる。キョロキョロする二人に、声の主はこちらだと告げる。小紫が、山の神様のなのか、と聞くと、そう呼ぶものいると答える。どうやら、本当に山の神様らしい。小紫は、山の神様にお願いがあってやってきたと告げる。そして小紫は、以前あや様がよみがえらせてもらった森が無くなったため、あやしの里の森が枯れてきてしまったと告げる。それを聞いた神様は、何故森がそんなことになったのかと尋ねてくる。それに対し、主人公は言いにくそうにしながらも、森のことをよく知らない町の人たちが切ってしまったことを告げる。それを聞いて、もう人間は森がいらないのかと言う神様に、主人公は必死で反論する。村の人はみんな、悲しんでいると。神様は、人間は何度も懲りずに過ちを繰り返すなとつぶやいた後、どうして欲しいのかと聞いてくる。そこで、小紫は、あやかし達が出ていかずにすむよう、森を生き返らして欲しいと頼むが、神様はなかなか了承してくれない。その様子に、主人公は人間のせいであやかし達に迷惑をかけてしまったので、何とかして欲しいと頼む。それに対し、神様は主人公が代わりに償いをするのか、と言ってくる。思わずひるんでしまう主人公。

 その時、突然主人公達のまわりで、何やら小さなものがたくさん騒ぎ始める。困惑する二人。その様子に、神様はそれまでの厳しい態度をゆるめ、意地悪がすぎたと、主人公達に謝る。主人公達をあまりいじめるなと、『タネ』達が騒いでいるのだという。主人公が聞き返すと、タネとは、この森で生まれ変わった新しい森のタネ達のことだという。神様がタネ達をなだめると、二人のまわりのタネは静かになっていった。

 タネのことに不思議そうな顔をしている二人を見て、神様ははじまりの森のことをよく分かっていないと理解し、詳しく教えてくれる。


 ※“はじまりの森”とは


 はじまりの森についての話が終わった後、神様はまた、ここ数十年、寿命をまっとうせずここに戻ってくる森が多いのだという。人間のせいかと主人公が聞くと、そうかもしれないと言われる。しかし、森はそれでも、人間たちと共に生きたいと願っているのだという。そして主人公たちのまわりのタネを示し、皆が、主人公たちと地上に戻りたがっているのだと告げる。この森のタネたちは、森を生き返らせるために、危険をおかしてまで、主人公たちがここにやってくるのを知っていたのだという。そして、タネたちはずっと待ちわびていたのだという。主人公たちと一緒に地上に帰るのを・・。

 そして神様は、主人公たちからこれまで苦労してきたことを見て取り、願いを聞き入れ、森のタネと共に地上に帰るよう、告げるのだった。

 喜んでお礼を言う二人。そんな二人のまわりで、森のタネが一斉に上昇し始める。そして最後に、神様は二人に言ったのだった。


 ※神様の最後の言葉


 主人公たちは、あや様の森のほこらの前に降り立つ。主人公がなんだか夢を見ていたみたいだと言うと、小紫も頷く。小紫に早くあやしの里に帰って引っ越さなくていいことを伝えないと、と主人公が言うが、小紫は首を振り、そんなことをしなくても森の生気があふれているので、里のものは分かっているという。森に新しい命が生まれたことを。その言葉に主人公が辺りを見渡すと、地面から芽が出ているのを見つける。それを見て、改めて自分達が山の神様に会ってきたことを実感するのだった。

 『森は生きている』、山の神様が言った言葉を思い出し、つぶやくと、小紫は森があるから自分達は生きていられるし、人間もそうなのではないか、と言う。その言葉に主人公は少し申し訳なさそうに頭をかきながら、頷くのだった。

 そうしているうちに、遠くから祭ばやしが聞こえてくる。小紫は村の方を指さしながら、あれはなんなのかと尋ねてくる。その言葉で、主人公は夏祭りをやっていることを思い出し、小紫に少し待ってくれるように言うと、丘を下りていった。

 戻ってきた主人公は、手にビンを持っている。そしてこれが約束していたコーラだと言って小紫に差し出す。約束を覚えてくれていたことに感動する小紫。コーラを受け取った小紫は、「ブクブクしているのじゃ・・・」と感想を漏らす。そして、これが「しゅわぁ・・」とするのかと尋ねてくる。主人公はうなずき、飲んでみるよう勧める。それに従い一口コーラを飲んだ小紫は驚いた表情を見せる。しかし、そのあと小紫は、一人では飲みきれないと言ってコーラのビンを主人公に差し出す。間接キスになってしまうことを意識して顔が真っ赤になる主人公。小紫からビンを手に取り、コーラを飲む主人公を、小紫は楽しそうに見ながら、

「シュッワーーッじゃな?」

 と笑いかけてくる。その笑顔を見て、主人公はある決心をし、小紫に話しかける。自分は来年の夏休みもこの村に遊びに来ると、そして小紫とまた会いたいと。その言葉に小紫は、森がある限り自分はずっとここにいると答える。それを聞いて、主人公はうれしそうに微笑んだのだった。

 

 そんなとき、上空に花火が打ち上げられ始めた。次々に打ち上げられる花火。二人はそれを、仲良く並んで眺めていたのだった…

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